2010年12月31日金曜日

講座 追補 面接の留意点と上達 1 

「面接の留意点と上達」 (2010年11月20日 CS カウンセリング 東京) では、以下、面接の3つについてレクチャーを行いました。


1 陳述の聴き方
  聴く能力の向上の方法
  語る意欲と能力向上の方法


2 観察と阻害要因


3 関係性の形成(非言語レベル、言語レベルの機能とサポート)


その他、「所見」「聴く」「問う」ことについてと、練習方法をお話しいたしました。それぞれについてとその他、ご質問についての追補を書きます。当日のノートとテキストと併せてご活用ください。


親切に懸命に。


心理学や精神医療の理論(仮説)は所見を統一的に理解、整理することに役立ちますが、捉え方により見え方が変化するので、辻褄合わせに過ぎないといったことがあります。経過予測を記録して、実際の経過と比較してください。予測力が上がります。診断名は分類方法です。実態・実存ではありません。そして、診断は互いに行っています。クライアントがカウンセラーを診断しているメリットは、カウンセラーのものと同質です。


「自己開示」についてのご質問がありました。クライアントからのカウンセラーへの質問は、ある種、クライアントからカウンセラーへの診断の意図があると思いますが、その質問に答えること(開示)は、関係性に関してのメリットがあります。何でも話すということではないのですが、望ましくは、頑なでなく、ざっくばらんな姿勢ということになります。


お相手の性格について描写するのは、お相手の気持ちの波が少し安定してからにします。


続く。

2010年12月28日火曜日

こころからだ

昨日の続きです。「こころの・・・・」というのは、<からだ>と、わけてとらえようとしているのだと思いますが、実際には<こころ>か<からだ>かというより、<こころ>と<からだ>の両方、<こころ>と<からだ>の関係する心身のテーマだと思います。


現場でお会いする方は、<こころ>の疲労を主に訴える方、<からだ>の疲労を主に訴える方、「どちらかわからない。」と教えてくれる方がいます。また、気疲れ(人間関係の疲れ)は、殆どの方が訴えるものです。この気疲れが、もっとも辛く長引くものです。こうした長引く疲れ<こころ>が<からだ>に影響を与えることは自明です。


精神医療では、昔から病気の原因を3つに分けていて、現在も続いていますが、その1つは、<外因>(身体病による精神症状の意味、古典的には外因性精神病、外因反応型。脳腫瘍、脳炎、てんかん、症状精神病、感染症、膠原病、内分泌代謝疾患など)、2つが、<内因>(外的要因との関連がわからない。遺伝? こころの中?「原因不明」の意味、古典的には、内因性精神病:統合失調症と躁うつ病)、3つが、<心因>(事件、出来事、状況から受ける心のトラブルが原因という意味、古典的には、心因反応:急性と神経症:慢性)こうした3つに分類します。そして、このように3分するのは、臨床上、先ずは、「外因性」が無いことを確認して、「内因性」か否かを検討し、「心因性」を考えるという順序が安全だからです。


脳腫瘍や脳炎の見落とし(例えば、ヒステリーと脳腫瘍、神経症と脳炎の誤診断、脳炎の場合は身体症状消失後にうつ状態が生じます。)は命にかかわることなので、救命が最優先されます。実際には、<心因><内因><外因>の順で診断がされ、初めの診断<こころ>は誤りで、最後の診断<からだ>で助かることもあります。


一方、「原因」と「結果」の関係は、因果関係がわからないものやクライアントが「原因」と思っていたことが回復後には、因果関係がなかったと捉えることも少なくないので、単純ではなく、神経症水準の方の場合は、治ってからでないと「原因」はわからないと思って差し支えないと思います。そして、終結の際には<こころ>の「原因」について振り返ってみることは大切なことです。人は意識的に生きていることが多く、辛い苦しい時には特に意識的になります。「どうしてだろう?」「なぜだ?」と因果関係を知りたくなります。そして、「原因」と「結果」の関係を知ると気持ちが落ち着きます。また、その「原因」と思われる環境や状況を調整することで、再発の予防、或いは以前よりも健康な生活を手に入れることが可能となります。多分、以前の状態、状況や環境には不調となる要素がありますので、回復・治るだけでなく、以前よりも良い状態になっていただくことが大切です。


不調にも様々な要因・原因がありますが、回復にも要因・原因を整えることが大切です。何か一つの原因が回復を阻害している場合もあります。<こころ>は謎が多いものです。辻褄を合わせたり、わかるつもりになることもできるようですが、よくわからないことが多いものです。<からだ>は過程の「原因」はわかることが多いものです。見立て、所見は、<こころ>と<からだ>の両面と関連をみることが必須です。睡眠状態(非特異症状)の他にも、「お身体の具合はいかがですか?」、体調を聴くことが大切です。特にPTS,PTSD,C-PTSDでは、生理的反応の発生が多く、<こころ><からだ>両面のケア、マネジメントが必須です。次回は、具体的な見立て、所見の順序と重要度について書きます。

2010年12月27日月曜日

心の健康情報のページ

近年、各自治体の精神保健福祉センターによる自殺対策など、職員向け対応マニュアルの公開が多くなっています。例えば、http://www.pref.fukushima.jp/seisinsenta/mhealth/ この中の「自殺対策のための相談マニュアル」、「こころの健康初期評価マニュアル」などです。先日も埼玉精神保健福祉センター作成の「心の健康初期評価シート」がTVで紹介されていました。検索してみてください。
そして、「こころの」「心の」がどうも引っかかるのです。明日の夜、この引っ掛かりに関してのことと、救命に関連する「所見」「見立て」を書きます。

2010年12月7日火曜日

危機状況の対処方法 1



「論より現場」という具体的な方法として、どのように書きはじめようかと考えました。ふと浮かんできたのは、危機的な状態の時に、「どうしたらよいか」というご連絡をいただくことでした。「今すぐにどうしたらよいか。」という場合です。


強い不安や深い悲しみ、人間関係のトラブルなどの傷つきや怒り、恐怖感など、気持ちの波がとても大きく揺れていていて、同時に生理的な反応(心拍数の上昇、発汗、震えやかたまりなど)が収まらづに、どうしようもないと思いお手上げの状態、気持ちは焦り、あたかも爆発しそうな時には、以下の方法を行ってみてください。


大きなトラブルによる場合もありますが、時にそれ以上に長期にわたる小さな出来事の連続や重なり、漠然とした不安や不全感が大きな危機感を生むことがあります。そうした状態の時には、生理状態を安定化に向けていくことと危機感、圧迫感を小さくする必要があります。


この方法で、何らか問題の解決が生まれるということではありませんが、強い危機感の迫力が小さくなっていきます。とてもシンプルなものですが効果的です。


1 裸足になります。
2 体を温めます。
3 仰向けになり、指でおなかを緩めるようにマッサージします。
4 おなかを出来るだけ引っ込めます。すると、胸が膨らみます。
5 4を繰り返し、胸とおなかがゆっくりとしたリズムで、交互に動くようにします。
6 一定のリズムで、意識的にゆっくりとした呼吸を繰り返します。


(できれば、4カウント吸って、少し止めて、8カウントで吐いて少しと止めます。 ご自身の呼吸音を聞きながら、続けてください。深い呼吸の必要はありません。)


そして、危機に対処する方法として、一人で解決しようとするのは逆効果となることが多いものです。誰か話を聞いてくれる人がいれば、共有してくれる人に連絡をしてください。公共の相談サービスなども利用できるものが少なくありません。


また、日頃から以下の呼吸方法を行うとより効果的です(心身の安定化が早く深くなります)。


A 「呼吸再調整」

軽く目を閉じて、背中をまっすぐにした姿勢で、呼吸(吸う息、吐く息)を感じながら、
ゆっくりとした呼吸をします。
1回 1~3分程、1日3回程、続けて下さい。


 B 「カウント呼吸」

ゆっくりとしたリズムで、以下、10回~15回程、呼吸を繰り返します。
4カウント吸って、4カウント止めて、8カウント吐いて少し止めます。
呼吸に意識を傾けて、ご自身の呼吸音を聞きながら、続けます。



呼吸に意識を傾けることで、呼吸に使われる筋肉の部位が変わり(横隔膜と胸郭)、ホルモンの分泌(エンドルフィン)が変化します。すると次第に気持ちと身体の反応が落ち着いていきます。



その他、シンプルで効果的な脱フラッシュバックの方法なども順次書き出していきます。

2010年12月1日水曜日

動機と目的

昨日、このブログを始めたのですが、どういう動機と目的で始めたのだろうと考えてみました。多分、シンプルに誰かの役に立つ、誰かの問題が解決するかもしれない、親切とか仲良くなりたい。そうしたことかなと思いました。自分ができることは何かな。そのパッションがあるかな?求めている人がいるかな。それを情報にしてみたいと思います。広がっていくと面白い。
 
 
少し怖いなとも思いますが、自分の棚卸も含めて、怖いことはすぐにやってみることにしました。