2011年7月23日土曜日

雑記 嘘と正解



最近は古今東西のソマティック・サイコロジー(身体心理学)ばかり研究しています。バンデア-コークから遡って、ライヒとか、ブーバー哲学とか、


その間、いろいろ質問されることがあるのですが、正解は、皆さん、ご自身で知っていて、例えば、「カウンセリングを始めるにあたって教えてほしい」 という場合、何か手っ取り早いやり方があって、「誰もが上手くできる方法はないか(意訳)」とおっしゃる方も少なくありません。そうした方法はありません。



そんな時、その人の得意分野の方法について尋ねてみるんです。例えば、歌が抜群によい人の場合、上手く歌うコツを聞くと、すると、「歌は心を込めて毎日コツコツ練習を重ねるしかないですね​」と教えてくれます。これが正解です。正解を知っていらっしゃいます。



「これであなたもカウンセラーになれます!!」とか
「すべてを体系化しました。次はあなたの出番です!」

あれも原発も普通に嘘。


2011年7月20日水曜日

講座 追補 面接の留意点と上達 5

追補ではないのですが、MLで頂いたご質問に関連して、当日のテキスト部分を以下に、



面接には以下3つの側面があります。ケースに応じて、いずれか一つが主となりますが、熟練した面接では、できるだけ3つの側面が満たされるように工夫がされています。

1 陳述を得る。生活史の事実の重要な出来事と受け止め方、周囲の人に対する姿勢。診察者は必要とする情報についての目算、患者の語る流れの中で、それに聴き入る姿勢と舵を持つ。質問をする際は、分かりやすく、慎重に。
 

2 感情状態、振る舞い、行動を量る、その為には、共感的な関わり合い、表情、声のトーン、意見や態度の中に暗に示されていること(人柄、診察者を含めて他者に対しての態度などの所見)に敏感であることが必要。特定の焦点が明確な話題の時にも必要です。また、診察者は自分自身の反応を手掛かりとして有用な情報を得ることができます。このかかわりの総体を眺めることが、人柄と精神状態を知るのに最も重要な情報源となります。このかかわりの総体を観察し、記述します。これが熟達度の目安となります。
 

3 特に初回面接は、サポートという重要な役割があり、知り合い、これから一緒に協力して進めていく基礎が形成されます。不安、不信、敵意を持つ方の場合、初回面接で事実の細部を問うのはひかえめに、辛抱強く共感的に耳を傾けることが特に大切です。押したり急ぐのは禁物です。こうしたケースでは、診察者の質問が自分には関係ないと思ったり、うるさいと感じたりすることが少なくありません。急ぐと全体像の把握が難しくなり、また、今後の関係の基礎を台無しにすることになります。必要な要素は何かを常に心に留めて、その上でニーズに沿って面接を進めます。

2011年7月8日金曜日

PTSD TSR トラウマ ストレス リダクション CLASS 2 補稿

以下、CLASS 2の補稿です。


脅威にさらされた場合、通常の大脳の思考経路、過程を経由しないで、大脳辺縁系の扁桃体が、外部感覚情報をバイパス処理して身体に反応が起きます。


危機的状況では、瞬間学習が自動的に行われるとも言えます。また、無意識なプロセスで行動が起きているということです。


これは意識的行動には限界があるということになります。

2011年7月1日金曜日

PTSD治療(1)

ASD、PTS、PTSD、あるいは、C-PTSDの精神療法を担当することの多いこの頃、想うところがあり、とても大切だと考えているところを書きます。

PTSDの症状ではなく状態像の中核は、無力化 disempowerment と 離団 disconnection。(詳しく書く必要がありますが、)したがって、クライアントのリソースの賦活(有力化:エンパワーメント)が回復のポイントなのですが、時には、その回復のプロセスを減速して、ブレーキをかける配慮も大切です。見聞きする多くのケースで、急ぐセラピストが多いと感じます。また、トラウマ体験の内容を話さなくても回復していくことも多く、ロスチャイルドやソロモンとハイドの分類など、トラウマ体験の構造によって対応は大きく異なります。

カウンセリングやセラピーを受けて、そのことで、 蓋が俄かに開いてしまったり、外傷体験が繰り返されて2次被害となっていたりというケースがあります。


例えば、解決済みのトラウマ体験の場合など、掘り起こすことで後悔の念が強くなるだけのケースや反復性のトラウマ体験を受け不安定な状態での聞き取りなどは、さらなる混乱を引き起こすことが多く、直面化や暴露療法は危険なもととなります。


単回性のトラウマ体験や反復性のケースでも現時点で安定している場合は、過去の体験に取り組むことが回復に資する場合もあります。



トラウマ体験を思い出すことは必須ではありません。



1 カウンセリングの中外のクライアントの安全性の確保

2 互いのより良い関係性(何年かかっても)

3 ブレーキをかける配慮

4 内外のリソースの読みと構築

5 心的な防衛(心の工夫)をリソースとすること。防衛、抵抗を取り除こうとしないこと。

6 トラウマ記憶の仕組みは常に圧力(抑圧)を減じるために働いていることを知っていること。

7 療法・技法をクライアントに合わせること。療法・技法を選択するだけではなく、その技法モデル、理論自体をクライアントに適合してもらえるものに工夫・改良すること。

8 関連する心理学と生理学(HPAhypothalamus-pituitary-adrenal axis)軸など心と身体の典型的な精神症状についての知識(神経学や身体心理学など)を持つこと。(カウンセラーの間違いとクライアントへの無理強いを減らして、必要なアプローチを創造すること。)

9 クライアントを批判・判断しないこと。「抵抗」とか相性とか、「他の人はこれでよかったのに」とかの類。

10 すべての技法や理論を一旦脇に置いて、対話することができること。