2011年7月1日金曜日

PTSD治療(1)

ASD、PTS、PTSD、あるいは、C-PTSDの精神療法を担当することの多いこの頃、想うところがあり、とても大切だと考えているところを書きます。

PTSDの症状ではなく状態像の中核は、無力化 disempowerment と 離団 disconnection。(詳しく書く必要がありますが、)したがって、クライアントのリソースの賦活(有力化:エンパワーメント)が回復のポイントなのですが、時には、その回復のプロセスを減速して、ブレーキをかける配慮も大切です。見聞きする多くのケースで、急ぐセラピストが多いと感じます。また、トラウマ体験の内容を話さなくても回復していくことも多く、ロスチャイルドやソロモンとハイドの分類など、トラウマ体験の構造によって対応は大きく異なります。

カウンセリングやセラピーを受けて、そのことで、 蓋が俄かに開いてしまったり、外傷体験が繰り返されて2次被害となっていたりというケースがあります。


例えば、解決済みのトラウマ体験の場合など、掘り起こすことで後悔の念が強くなるだけのケースや反復性のトラウマ体験を受け不安定な状態での聞き取りなどは、さらなる混乱を引き起こすことが多く、直面化や暴露療法は危険なもととなります。


単回性のトラウマ体験や反復性のケースでも現時点で安定している場合は、過去の体験に取り組むことが回復に資する場合もあります。



トラウマ体験を思い出すことは必須ではありません。



1 カウンセリングの中外のクライアントの安全性の確保

2 互いのより良い関係性(何年かかっても)

3 ブレーキをかける配慮

4 内外のリソースの読みと構築

5 心的な防衛(心の工夫)をリソースとすること。防衛、抵抗を取り除こうとしないこと。

6 トラウマ記憶の仕組みは常に圧力(抑圧)を減じるために働いていることを知っていること。

7 療法・技法をクライアントに合わせること。療法・技法を選択するだけではなく、その技法モデル、理論自体をクライアントに適合してもらえるものに工夫・改良すること。

8 関連する心理学と生理学(HPAhypothalamus-pituitary-adrenal axis)軸など心と身体の典型的な精神症状についての知識(神経学や身体心理学など)を持つこと。(カウンセラーの間違いとクライアントへの無理強いを減らして、必要なアプローチを創造すること。)

9 クライアントを批判・判断しないこと。「抵抗」とか相性とか、「他の人はこれでよかったのに」とかの類。

10 すべての技法や理論を一旦脇に置いて、対話することができること。

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