2010年12月28日火曜日

こころからだ

昨日の続きです。「こころの・・・・」というのは、<からだ>と、わけてとらえようとしているのだと思いますが、実際には<こころ>か<からだ>かというより、<こころ>と<からだ>の両方、<こころ>と<からだ>の関係する心身のテーマだと思います。


現場でお会いする方は、<こころ>の疲労を主に訴える方、<からだ>の疲労を主に訴える方、「どちらかわからない。」と教えてくれる方がいます。また、気疲れ(人間関係の疲れ)は、殆どの方が訴えるものです。この気疲れが、もっとも辛く長引くものです。こうした長引く疲れ<こころ>が<からだ>に影響を与えることは自明です。


精神医療では、昔から病気の原因を3つに分けていて、現在も続いていますが、その1つは、<外因>(身体病による精神症状の意味、古典的には外因性精神病、外因反応型。脳腫瘍、脳炎、てんかん、症状精神病、感染症、膠原病、内分泌代謝疾患など)、2つが、<内因>(外的要因との関連がわからない。遺伝? こころの中?「原因不明」の意味、古典的には、内因性精神病:統合失調症と躁うつ病)、3つが、<心因>(事件、出来事、状況から受ける心のトラブルが原因という意味、古典的には、心因反応:急性と神経症:慢性)こうした3つに分類します。そして、このように3分するのは、臨床上、先ずは、「外因性」が無いことを確認して、「内因性」か否かを検討し、「心因性」を考えるという順序が安全だからです。


脳腫瘍や脳炎の見落とし(例えば、ヒステリーと脳腫瘍、神経症と脳炎の誤診断、脳炎の場合は身体症状消失後にうつ状態が生じます。)は命にかかわることなので、救命が最優先されます。実際には、<心因><内因><外因>の順で診断がされ、初めの診断<こころ>は誤りで、最後の診断<からだ>で助かることもあります。


一方、「原因」と「結果」の関係は、因果関係がわからないものやクライアントが「原因」と思っていたことが回復後には、因果関係がなかったと捉えることも少なくないので、単純ではなく、神経症水準の方の場合は、治ってからでないと「原因」はわからないと思って差し支えないと思います。そして、終結の際には<こころ>の「原因」について振り返ってみることは大切なことです。人は意識的に生きていることが多く、辛い苦しい時には特に意識的になります。「どうしてだろう?」「なぜだ?」と因果関係を知りたくなります。そして、「原因」と「結果」の関係を知ると気持ちが落ち着きます。また、その「原因」と思われる環境や状況を調整することで、再発の予防、或いは以前よりも健康な生活を手に入れることが可能となります。多分、以前の状態、状況や環境には不調となる要素がありますので、回復・治るだけでなく、以前よりも良い状態になっていただくことが大切です。


不調にも様々な要因・原因がありますが、回復にも要因・原因を整えることが大切です。何か一つの原因が回復を阻害している場合もあります。<こころ>は謎が多いものです。辻褄を合わせたり、わかるつもりになることもできるようですが、よくわからないことが多いものです。<からだ>は過程の「原因」はわかることが多いものです。見立て、所見は、<こころ>と<からだ>の両面と関連をみることが必須です。睡眠状態(非特異症状)の他にも、「お身体の具合はいかがですか?」、体調を聴くことが大切です。特にPTS,PTSD,C-PTSDでは、生理的反応の発生が多く、<こころ><からだ>両面のケア、マネジメントが必須です。次回は、具体的な見立て、所見の順序と重要度について書きます。

0 件のコメント: